3月のコミュニティ研究会に行ってきました
昨日(2016.3.24)、これまで2回出席し、前々回、前回と出席し、これで3度目のコミュニティ研究会の勉強会となりました。
今回のテーマは、『住み慣れた地域で暮らし続けられる助け合いのしくみづくり』で、講師はコミュニティ研究会の理事でもある中西博先生でした。
一口に高齢化とはいうけれど
ブログ記事として社会・経済に関連して少子高齢化を話題にしますが、普段から接していないと実感できていない部分が多々あるというのが正直なところです。
しかし、3歳の娘がいることを通じて実感する少子化対策問題と同じか、それ以上のベクトルで高齢化も日本社会の大きな課題です。
今回はその部分を具体的に学びたいと考え、参加しました。
新興住宅地ではエリア丸ごとで高齢化します
私が専門とする分譲マンションは、新築時の入居世代の統一感が長期にわたって継続します。
特に「新興住宅地」と呼ばれる、それまで宅地でなかった土地を一気に開発したようなエリアでは、戸建分譲でも住宅ローン縛りからかなり類似の結果となります。
一般的に日本の都市はスポンジ型に縮小する傾向があり、人が入れ替わるのではなく、大都市都心部の例外を除き、空き家が増えるだけで若返りはほぼ起こりません。
入居時の平均年齢を仮に30代半ばとだとすれば、築30年を超えるマンションでは多少の入れ替わりはあれど、その平均年齢を大きく下げることはほぼありません。
年齢入りの居住者名簿回収率90%も凄いが、平均年齢も凄い
今回の中西先生ご自身がお住まいで、高齢者支援委員会の委員長を務められる分譲マンションは、千葉県松戸市にあり、築35年296戸で世帯主の平均年齢は65.7歳とのこと。
この数値は回収率90%という居住者名簿が基になっているとのことから、かなりの精度だと思います。
一昔前の老人ホーム並みの高齢化率です。
あと10年ほどで世帯主の平均年齢が後期高齢者に達してしまいます。
ここまで高齢化が進むと役員のなり手がほぼいない
新興住宅地は、自治会なども元々ないエリアです。
したがって、管理組合が自治会を兼ねるケースが多く、今回も同様の事例でした。
このような管理組合では、その他のコミュニティが存在しないことから、昔ながら人情などもあり、かなり活発な活動が行われ、そのコミュニティが成熟しているケースが多いと感じます。
個人的には、それが居住者名簿回収率90%を実現していると考えます。
しかし、このコミュニティを持ってしても年々役員のなり手が減り、2年任期の半数交代制が資格範囲を拡大しつつも維持の限界に達し、現在はブロック分けされた各班からの推薦によって役員のなり手を確保している状況とのことでした。
年齢にかかわりなく、元気な人に役員をやってもらうしかない
ここまでくると、もうマンション内の人材は限られ、入れ替わりも早々望めません。
結論、いま役員をできる元気な人に年齢にかかわりなく、できるだけ役員をやってもらうしかないという現実が、中西先生が委員長を務める「高齢者支援委員会」の発足につながったとのこと。
ここで私が特に共感できたのは、この「高齢者支援委員会」の活動において、「目的・目標の明確化」に力を入れ、できるところから手をつけて場当たり的にやるのではなく、時間をかけてでも全体構想を固めてから、順次アイディアを実現された部分でした。
「ビジョンやミッションの共有化」については以前にも記事にしていますが、管理組合で何かを実現していくためにはこの部分がとても重要だと考えています。
本格的に行政も動き出してきている
今回のセミナーの主題ではありませんでしたが、関連して行政の動きについても言及がありました。
その意図通りに物事が運ぶかどうかはともかく、行政サイドもこの高齢化対策について、介護保険制度改正とともに、「地域の自主性や主体性」の名の下、自治会や管理組合を巻き込んで、その実現を図ろうとしているようです。
まとめ
今回も学びの多い、勉強会でした。
今のところ私は元気ですが、明日はわが身です。
あまり将来のことばかり心配してもあれですが、この社会を支え、各課題を乗り越えていくために、マンション管理士として何ができるかを考えたいと思っています。