A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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消費税税理士試験

消費税について(国内取引の課税の対象)

昨日の『消費税について(概要)』に続き、今日は、国内において消費税が課される(法律の対象とされる程度の意味)取引について、まとめてみたいと思います。

なお、国内取引の課税の対象は、消費税法第4条1項において、次のように規定されています。

 

国内において事業者が行った資産の譲渡等には消費税を課する。

 

このように規定されているのですが、使われている用語一つ一つに定義があり、シンプルには読み取れないのです。

 

subject-of-taxation-of-domestic-trade

 

国内取引

消費税では、国内において行われた取引を、国内取引と輸入取引の2つに区分しているのですが、今回は、輸入取引ではなく、国内取引に着目して話を進めます。

消費税法第2条(定義)において、「国内」は次のように規定されています。

国内 この法律の施行地をいう。

 

わかりくいですね(笑)

意味としては、日本の法律が有効となる場所は、全部「国内」ですよと宣言されているわけですが、この「国内」が問題となる場合には、次のようなものが挙げられます。

・特許権などの無形固定資産(権利であり、物体ではないので所在している場所はわからない)

・インターネットなどを介して行われるサービスの提供(これは電子書籍などの問題で、Amazonなどの国外の事業者にも消費税を掛けられれるように10月1日から施行があったところですね)

・利子を対価とする金銭の貸付けなど(貸付け取引を行った事務所などの所在地で判定されます)

 

例として挙げたような、規定や通達などを覚えていないと回答できないようなところが、試験問題になる傾向があります。

 

subject-of-taxation-of-domestic-trade-1

 

事業者

消費税は「事業者」が行った取引しか対象となりません。

事業者とは、「法人」および「個人事業者(事業を行う個人)」のことです。

したがって、我々、一般消費者が日常生活で商品を購入したり、ちょっとオークションで日用品を処分した程度では対象とならないわけです。

あと、これは例外的な取引ですが、個人事業者(飲食店など)が、賄いで食事をしたり、業務用として購入した車を家事用途に転用したりすると、事業を行う個人と一般消費者としての個人の間で行われた取引と考え、「家事消費」として、消費税の対象とされます。

 

subject-of-taxation-of-domestic-trade-2

 

資産の譲渡等

どんな範囲が含まれているかわからないので、法律用語の「等」はクセモノです。

この場合は、消費税法第2条(定義)に次のように規定されています。

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他事業として対価を得て行われる資産の譲渡または貸付け並びに役務の提供として政令で定めるものを含む。)をいう。

 

長ったらしい規定ですが、かっこ書きを除いて、ここで意味しているの次の二つです。

・事業として対価を得て行われる取引が対象となること

・資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であること

 

おそらく世の中の取引の大半は「資産の譲渡等」に含まれると思いますので、逆にこの取引に該当しないもの(不課税取引といいます)の具体例を挙げると次の通りです。

 

・資本取引(お金を出資して会社を設立したり、増資で資本金の額を増やす取引)

・保険金、共済金の受け取り(偶発的事故により支払われる金銭であり、対価性がない)

・配当金

・寄付金、祝金

・補助金、助成金等

・保証金、権利金等(返還義務のあるもの)

・損害賠償金(ただし、直して使えるような物を貰った場合など対価性がある取引は該当しない)

 

最後に、マンション管理に絡めた話題として、管理組合に毎月支払っている管理費、修繕積立金は、決まったサービスの提供があるわけではありませんので、会費などと同じように、対価性のない取引として、不課税取引となります。

また、駐車場使用料などは区分所有者以外の外部者に貸し出している場合は、「事業として」に該当してしまうのですが、外部者に貸出していなければ、「資産の譲渡等」に該当しないため、これも不課税取引となり、消費税が課されることはありません。