管理組合運営における経営「的」視点の必要性について
昨日(2016.2.7)の記事で、名古屋商科大学大学院への入学を目指すにあたり、社会人大学院で修士論文による税法免除を第一目的とはしつつも、マンション管理士として管理組合運営の支援に携わる中で役立てられるのではないかと考え、MBAの取得も併せて狙っていることを記事にしました。
まだこれからの模索ではありますが、今日は、マンション管理士として管理組合運営のどのような部分で、役立てたいと考えているのかについて、まとめてみたいと思います。
専門家活用をすることは、管理組合運営を変革することにつながっている
マンション管理士のような専門家を活用して、管理組合運営に役立てようとすることは、従来から行われてきた運営方法に対して、何らかの変革をもたらすことになります。
この場合に問題となるのは、その変えようとする内容が良かれ、悪しかれ、「現状を変えようとすること」自体に反発が起こることです。
管理会社時代の体験からすれば、管理組合役員の多くは輪番制の理事であり、そのほとんどの方は自らの順番の際には、大過なく過ごしたいと考える方がほとんどでした。
また、逆に自ら立候補し、主体的に運営されてきた管理組合では、主要メンバーの考え方と違う意見をすることは、否定的に捉えられることが多く、多様な考え方を前向きに捉えて、議論が活発化するような方向に進むことは希でした。
人はどうしても保守的になりがちです。
ただ、一概にそれが悪いとは思っていません。
しかし、時にそれが大きな問題になることもあります。
管理組合という組織の性格
法律上は、分譲マンションでは、当然に団体として成立し、所有者は、その構成員の一人となります。
購入によって、メンバーの一人となるところは、株主的性格がありますが、容易くは売買できず、生活の根拠を置くこととなる分譲マンションは、引っ越しによって、その地方自治体の住人になることにも近いと感じています。
実際のところ、税金のような管理費もかかりますし、売買が難しい場合には、勝手には構成員をやめられないところも似ているかもしれません。
この視点からすると、「分譲マンションという建物を媒介とした自治体」と言えると思っています。
そして、所有者はその自治体の住民ですが、その行政サービスは、役所の職員のような管理会社の社員が担っていますので、普段はそのことをあまり意識することがないとも感じています。
問題は本当に困った時に実感される
このような形で管理組合を捉えると、財政破綻してしまった自治体や、点検がなされていなかった橋やトンネル、国で言えば、特別会計や年金の問題、地震や水害に対する防災対策など、その問題を国や地方自治体の現状に喩えて話すことが可能になります。
このような問題に「どれだけ取り組めるのか?」というところが、とても似ていると考えています。
私も普段から国の問題などを考えているわけではありません。
しかし、「子供と持つ身となって感じる少子化の問題」や「震災が起こった時の恐ろしさ」などを通じて、放置することはできても、全くの無関係でいることはできないと感じています。
だからといってデモやストを行い、改革を叫ぶことだけなのは違うと感じる
国や地方自治体に喩えたものの、管理組合は、代議士を立てて選挙を行う間接民主制ではなく、組合員が立候補して、理事会という執行機関に直接参画できる組織です。
そのため、問題や課題を声高に叫ぶだけで、行動が伴わない方には違和感を覚えます。
また、知識や経験、権威などの嵩にかかって高圧的な振る舞いする方も違うと考えています。
ここで課題になると思っているのが、以前にも記事にしました「ビジョンやミッションの共有化」です。
単純に企業経営手法を真似ることはできないが役立つこともある
この「ビジョンやミッションの共有化」を達成するために、経営「的」な視点はとても重要だとは考えていますが、営利組織である企業の手法をそのまま真似ることはできません。
しかし、考え方として、取り入れるべきことがあると感じています。
適切なたとえ話になるかわかりませんが、以前にリーダーシップに関して、ちきりんさんの次の記事を読みました。
これは、コミュニティにおいては、イベントを企画・実行したり、サークル活動などを立ち上げたりして、コミュニティ内の交流を活性化させる手法に通じていて、手や身体を動かす体験を取り入れることに似ていると考えています。
コミュニティ形成に成功していると言われる管理組合は、個々の構成員それぞれに立場や事情に応じた役目・役割があり、それがなんとなくうまく回っているケースだと思っています。
もう一歩踏み込んで言えば、戦略が必要
コミュニティ形成に関して「戦略」まで持ち出すと少し過剰に感じられるかもしれませんが、成功事例と呼ばれる管理組合活動について見ていると、その成功には、「成功体験の共有化」があり、その達成のために「戦略的」な取り組みをしていると感じています。
それは、「賛成していない組合員をどのように説得し、理解を得て、賛同者にしていくのか?」という取り組みです。
さらに言えば、「そもそも同じ管理組合の中で対立を生じさせない」ための戦略的な取り組みがなされていると感じています。
まとめ
このように書きましたが、私の知っている具体的な事例では、これらのような戦略的な取り組みの発生に、特別なリーダーの存在があったり、自然発生するような土壌があったりして、一般化できる具体例とは言い難いものがあります。
そのため、マンション管理士として、大学院での学びを通じ、企業経営の手法を応用し、この部分でのファシリテーションを行える可能性を模索したいと考えています。