消費税簡易課税の選択で気になったパターンについて
税理士試験の受験科目で消費税法を選択したこともあり、消費税の申告に関する質問を受けることがあります。
その中で、いくつか気になったパターンがあったので、記事にしてみたいと思います。
ご注意 記事の内容は投稿日時点の法律や情報に基づいたものであり、必ずしも最新のものではありません。
高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除等の特例でポイント
消費税の免除がされなくなるパターンの中で、もっとも最近の改正です。
私の受験時は、改正前の時代でした。
特殊な例を除き、年間の売上高が1,000万円以下であれば、消費税の納税義務はありません。
ざっくりいうと、この義務は年間売上高が1,000万円以下であっても、1,000万円以上の高額特定資産等を取得した場合には、納税義務は免除されなくなり、簡易課税の選択もできなくなります。
今回気になったのは、この高額特定資産です。
以前の記事でも書いていますが、この高額特定資産とは、1000万円以上の棚卸資産や調整対象固定資産のことなのですが、これは「一つの取引の単位」につき、1,000万円を超える棚卸資産や調整対象固定資産です。
今回、私が判定したお客さまでは、1,000万円を超える資産の購入をされていたのですが、その資産は内装造作、設備・機械などを合計して1,000万円を超えていただけでした。
そのため、この高額特定資産に該当せず、この特例にも該当しませんでした。
したがって、注意のポイントは1,000万円を超える資産を購入したとしても、「一つの取引の単位」につき1,000万円を超えるような、よほど大きな買い物(建物など)をしなければ、この特例の適用はないということです。
なお、いうまでもありませんが、申告にあたっては、この判定に関して必ず顧問の税理士さんにご確認いただくようお願いします。
この他にも自己建設高額特定資産のパターンもありますが、自己建設される業者さんは特定業種に限られることから、今回の解説では割愛させていただきます。
簡易課税の取りやめと再選択
こちらは、税理士としては常識かもしれません。
受験時にはしっかりと覚えていた気もするのですが、初見時には一瞬思い込みから2年縛りがあると勘違いしてしまいました。
消費税の簡易課税制度の選択には一旦選択すると2年間は継続適用となる縛りがあります。
普段は簡易課税の選択をしていたとしても、特定年度だけ大きな買い物があり、その年度だけ簡易課税を取りやめ、消費税の還付を受けるなどした場合には、再度、簡易課税の選択の届出を行いますが、その際には2年縛られることはありません。
単純に、原則から特例の選択を行うだけだからです。
まとめ
実際に出題されるかどうかはともかく、内容的には受験生には「試験にでますよ」といいたくなるようなポイントです。
実務上では、税理士の先生方には思い込みによる勘違いを避けるべきポイントであり、経営者の方には、しっかりと顧問の税理士さんに確認して事業計画に狂いが生じないようにして欲しいポイントですので、お気をつけください。