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湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理

分譲マンションの「生活上の価値」について

概要で3つ挙げました分譲マンションの資産価値のうち、最後の一つである「生活上の価値」について書きたいと思います。

マンションの3つの価値分譲マンションの資産価値について(概要)
分譲マンションの価値に関しては、馬渕裕嘉志先生のプレゼンテーションにおいても度々登場することから、『活躍できるマンション管理士...

ただ、この「生活上の価値」については、人それぞれに価値が異なっているもののはずです。

そのため、他の2つの価値と比べれば、共通の評価を行うことは難しいものです。

しかし、分譲マンションは、その「生活上の価値」を建物の共用部分という空間で共有することになります。

加えて、管理費や修繕積立金といったお金に絡んで、共有化することとなります。

 

生活上の価値にはブランド価値も含まれる

分譲マンションにおいて、とても強固に感じる価値のひとつがブランド価値です。

これは開発会社のネームバリューが大きくものを言い、テレビCMなども販売にとても有効に作用していると感じています(最近は、管理会社もテレビCMしていますね:笑)

この部分においては、広告費がかかって高くなっていることが、さらに差別化を促進する側面もあり、とても興味深く感じています。

大手管理会社にいると「〇〇さんだから買ったんだ」的なお話をそこそこ聴けます。

そのため、管理に関しても、大規模修繕工事は別として、経常費用である管理支出程度では多少の高い安いをとやかく言われない傾向をかなり感じていました。

 

また、「資産上の価値」の記事でも触れましたが、ブランド価値として、次にその影響を強く感じるのが「住所」です。

不動産広告分譲マンションの「取引上の価値」について
一昨日、昨日に続き、今日は概要で3つ挙げた分譲マンションの価値のうち、「取引上の価値」について書きます。 「取引上の...

関西にも一部ありましたが、そこまで強くは感じていませんでした。

しかし、首都圏ではその影響力を感じずにはいられません。

 

他に共有化できる価値はないのか?

管理組合運営上、「生活上の価値」を共有化できるようになることは、組織の一体感を保つ上で、とても重要です。

昨今、一部地域を除いて、町内会や自治会、消防団などの地縁団体活動の低迷が聴こえてきます。

お祭りなど共通のイベントが地域を一体化させるとは言われていますが、分譲マンションにおいては、どのようなことが共有化できる「生活上の価値」となるのでしょうか?

 

私の経験上、多少の温度差があっても共有化できる事項として考えられるのは、「安全」「安心」の2点です。

特に、分譲マンションは、戸建てと異なり、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート造であることが多く、防火設備も整っており、建物の機能として防災性能に優れています。

しかし、防災はハード面だけではカバーしきれない課題が多々あります。

ソフト面での防災運営上の減災に取り組まないと、「仏作って魂入れず」的な状態になってしまうのはないでしょうか?

私は直接被災してはいませんが、阪神・淡路大震災(実家大阪にて)や東日本大震災(横浜の管理会社事務所にて)を振り返らずにはいられません。

 

コミュニティ活性化は「生活上の価値」となりうるのか?

これは、私だけではなく、分譲マンションの課題に取り組む多くの方と共通して話せることだと思っています。

先述の防災に取り組むことは、「生活上の価値」になりうると考えています。

また、同じマンションに住んでいるにもかかわらず、隣近所をよく知らないということはないでしょうか?

その状態では、防犯上は賃貸アパートと何ら変わるところがありません。

多くのマンションに採用されているオートロックや防犯カメラは防犯を約束する設備ではありませんし、オートロックや塀・フェンスがあることが、逆に共用部分をひと気がない状態にし、空き巣などを助長している側面があります。

このような課題への対策として、「組合員名簿」「居住者名簿」の整備や、居住者相互の顔を覚えるためのイベント開催などへとつなげていく必要があるのではないかと考えています。

 

「私には関係ない」のか?

コミュニティが活性化しない理由の一つとして、分譲マンションには大企業病的なセクショナリズムがあると感じています。

今までは大きな会社という箱舟に乗っていれば、部署ごとに多少の諍いがあったとしても護送船団方式的に日本の成長とともに企業も成長してきました。

しかし、時代は変わりつつあります。

分譲マンションにおいても、管理会社に任せて日々大過なく過ごせる時代ではなくなってきていると感じています。

 

それは、「資産上の価値」や「取引上の価値」を維持・向上していくためには、「生活上の価値」を高めていく必要があるからです。

しかし、その実行のためには管理組合組織として一体となった合意形成が必要です。

以前にも記事化したように、現在、多くの高経年化した分譲マンションにおいて、その合意形成が課題となっています。

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そのため、理想論ではなく、丁寧なリサーチから、検討、議論、審議、決議へとつなげていく努力が必要だと考えています。

マンションコミュニティ研究会の代表である廣田信子先生も、ご自身のブログに次のように書かれています。

 

まとめ

このような課題に対して、マンション管理士としてお役に立てる部分があるのではないかと考えています。

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普段は、第三者を介せず直接話し合うことが重要ですが、当事者同士だけでは、利害関係がダイレクトすぎて話にくいこともあると管理会社での経験を通じて感じているからです。

また、セカンドオピニオンとして、皆さんにできるだけ客観的な意見をお伝えすることで、判断材料を整理できる部分もあると考えています。

すべてのマンションに必要とまでは考えていませんが、お役立ち出来そうなことがありましたら、お声掛けいただけましたら幸いです。