「マンション管理適正化診断サービス」診断業務研修に行ってきました
昨日(2016.5.11)は、(一社)日本マンション管理士会連合会が行っている「マンション管理適正化診断サービス」の診断業務研修会に東京秋葉原まで行ってきました。
これは、以前にも記事にしています日新火災の保険商品「マンションドクター火災保険」を契約するために必要な診断サービスを実施できるようになるための研修会です。
マンション管理士にしか実施できません
この診断サービスは、この研修会を受講したマンション管理士しか実施できません。
加えて、日本マンション管理士会連合会に所属しているマンション管理士である必要があります。
なぜならば、連合会に所属しているマンション管理士にしか保険契約することができない「マンション管理士賠償責任保険(一定額以上の保険契約が必要)」をかけていてるマンション管理士のみが診断業務を実施できることになっているからです。
万一、何らかの賠償責任が生じた場合、何の保険も掛けられていないマンション管理士によるものではその補償ができません。
管理組合のみならず、マンション管理士会や保険会社、保険代理店も関係するこの業務において、これが条件になることは理解できます。
研修内容
保険業法など必要最低限の損害保険に関する基礎知識と診断業務に関する講習でした。
診断業務に関して、事前に疑問に思っていたことのほとんどはこの講習で解決することができました。
ただ、この講習はあくまで「診断業務」に対する研修会であり、この研修を受けても保険料がいくらになるのかは全くわかりません。
そのため、事前に保険料がいくらになるのかを説明することはできないのです。
研修会では、最後に効果測定を行って、それを提出すれば、修了証がもらえます。
保険事故の7割は漏水
研修でも説明がありましたが、日新火災さんの分譲マンション保険事故のデータでは、漏水事故が約7割なのです。
特殊な事例を除き、私の管理会社勤務経験でも保険適用事故のほとんどが漏水事故でした。
したがって、このサービスの診断は、その管理組合が漏水事故対策しているかどうかにその評価が集中しています。
そのため、築年数が15年を超え、「長期修繕計画上、給排水菅の耐用年数が到来していない管理組合」や「給排水菅の更新・更生を行って、かつ、その保証期間内である管理組合」の評価が高くなります。
逆に言えば、一般の損害保険会社の保険は、この辺りの評価がなく、一律築年数で保険料が決まってしまうことから、このような条件に当てはまる管理組合にとっては、保険料金でメリットが出る可能性が高くなると言える診断サービスとなっています。
中立な第三者視点の診断
この診断サービスは、管理組合は無料で受けられます。
そして、マンションを診断したマンション管理士は、その診断をしたマンションに対する保険代理店としての売り込みは禁止されています。
助言などはできますが、保険説明などは保険代理店から行うことになっており、保険にかかわる営業行為はできません。
マンション管理士は、あくまで中立的な立場での診断を実施し、管理に関する診断レポートを提出します。
管理組合サイドにとっては、診断を受けるための決議や資料準備などが必要ですが、診断を受けても保険加入は強制ではありませんので、第三者による管理状況に対する診断を受けられたい場合には、このサービスを受けるメリットがあると言えます。
まとめ
前述したような条件に合う管理組合であれば、客観的に考えてこの保険加入を検討すべきだとお勧めしますが、条件に合わなければ、診断サービスを受けてもメリットが出るかどうかわからない商品です。
また、この商品でメリットが出る管理組合は、もともと維持管理をしっかりしているからメリットが出せるのです。
今までしっかりやっていても一律にしか評価されなかったところに、光を当てた保険商品として素晴らしいと感じましたが、裏を返せば、全ての管理組合にとってメリットが出る商品でもありませんので、ご注意ください。