A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理管理見直し

理事会支援業務は「マンション管理業」か?

昨日(2015.12.16)、私が顧問業務を行っている管理組合より、『理事会をサポートする理事会補助業務は、「マンション管理業」に該当し、登録業者でないと実施できないのではないか?』とのご質問を頂きました。

ご質問にお答えしながらも、この件は、しっかりと考え方を整理しておくことが必要ではないかと考え、本日の記事としてまとめてみました。

 

そもそも「マンション管理業」とは?

以前に『フロント担当者から見た業務処理の要領とポイントについて(管理組合の会計の収入及び支出の調定)』の記事でも解説しましたが、法定されています「マンション管理業」は、『マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、「適正化法」)』の第2条(定義)第七号で、次のように規定されています。

 

マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)をいう。

 

自ら管理を行っているいわゆる「自主管理」している管理組合が除かれていることはわかりますが、強調しました「管理事務」の詳細が、これではわかりません。

このまま読むと「マンションから委託を受けて管理に関する事務」を行っていれば、すべて「マンション管理業」を業として行うものと読めてしまいます。

 

しかし、「管理事務」については、適正化法第2条第六号で、次のように定義されているのです。

 

管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(「管理組合の会計の収入及び支出の調定」及び「出納」並びに「マンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整」をいう。)を含むものをいう。

 

読みにくい定義ですよね?(笑)

この定義から読み取れることは、次の3つの業務、基幹事務を含むことが必要なことです。

 

1)管理組合の会計の収入及び支出の調定

2)出納

3)本マンション(専有部を除く。以下同じ。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整

 

ここには、「理事会支援業務」は出てきません

国土交通省より公表されています「マンション標準管理委託契約書」において、理事会支援業自体は、「基幹事務以外の管理事務」とされています。

居住者から見れば、理事会支援業務は、管理会社の仕事そのものに見えると思います。

しかし、法律上は、「お金を預かっていること」と、修繕に関して「企画又は実施の調整を行うこと」の方が、管理会社のやるべき仕事として法定されており、それさえ含んでいれば、「マンション管理業」に該当することになります。

 

その一部でもやっていれば、「基幹事務」ではないのか?

もう一歩踏み込んで、我々は、会計や修繕に関するアドバイスを行っていることから、その他の部分において、『「マンション管理業」に該当するのでは?』とのお話を言われている可能性も考えました。

しかし、この場合においても、基幹事務の定義において、上記に挙げた3つの業務が「及び」と「並びに」によって結ばれていることから、この3つの業務全てを含む場合においてのみ、「マンション管理業」に該当すると法定されていることが読み取れます。

 

これは、法律においては、その取り扱いにつき、厳密に用いられている用語が幾つかあり、この「及び」と「並びに」は、英語で言う「And」の意味で用いられています。

従って、この並列して繋げられている業務全てを一体として「基幹事務」ということになり、逆に一部でも欠けていれば、基幹事務ではないと言えます。

 

まとめ

私は「管理事務」を行っていないことから、「マンション管理業」の登録の必要はありません。

適正化法における「マンション管理業」は、管理組合の「出納」、「会計」を行い、かつ、「修繕に関する企画など」を行う会社や個人ことなのです。

 

なお、疑われた本人が「違う」と言っても、信憑性に乏しいと考えましたので、併せて、第三者の見解として、管理組合をサポートする公的機関にお問い合わせされることも、お勧めしておきました。

今回のように、お客様のご不審やご懸念を一つ一つ払拭し、信頼を勝ち得るコンサルタントとなれるよう努めたいと考えます。