A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理

管理組合コンサルタントとしての第三者性の重要性について

先日も、管理組合には、様々な組織内バランスを取るための仕組みが欠如(もしくは機能していない)ことについて記事にしました。

管理会社に対する期待について

この視点に加えて、もう一点注意を促しておきたのが、コンサルタントは、契約のきっかけとなった依頼者(多くは理事長など)を擁護するために仕事を行うわけではないことです。

 

マンション管理士は管理組合と契約します

様々な相談を受ける中で、そこそこある話なのが、ご自身の都合の良い回答だけを得たいとされる方の存在です。

無料相談においては特にその傾向が強いと感じています。

もちろん、依頼を受け契約すれば、その契約の目的は、利益の最大化を目指してバックアップすることです。

そして、当然のことですが、マンション管理士等専門家と契約するのは、管理組合です。

そのため、それは相談者や依頼者の希望を叶えることとは別の問題なのです。

 

管理組合を私物化する人もいます

また、こういう方ばかりではありませんが、長期間(10年以上など)理事長を務められる方の中には、自己の承認欲求を満たすため、独裁者のように振る舞う方もいらっしゃいます。

逆に外見的にはそのように見えず、皆さんのために尽くしているように見える方でも、管理費等を横領し、新聞記事となる事件が毎年のように起こっています。

今年に入ってからも、新潟県のマンションで公認会計士の元理事長が在任中に管理費を横領し、逮捕された事件が新聞記事になっています。

 

管理組合は法人化していない組織としては破格のお金を扱います

通常、管理組合は戸当たり10,000円以上の管理費を集めています。

年間数百万単位の予算、少し規模が大きくなるとあっという間に1,000万を超えてしまいます。

加えて、大規模修繕工事は、数千万円は普通で、100戸を越えれば、億を超えます。

こんな組織が、専門知識もなく、チェック体制も整っていないのですから、狙われるのは当然です。

そのため、多くの管理組合は管理会社と契約し、区分所有者とお金の出納を切り離しているのです。

しかし、その管理会社の機能も万全ではありません。

以前にもご紹介した国土交通省の「ネガティブ情報等検索システム」で検索すれば、管理会社の社員が管理費等を着服に夜は毎年のように行われています。

これは、中小管理会社に限らず、規模の大きい名の通った管理会社でも同様です。

失われたお金は、管理会社が保証するケースもあるでしょうが、簡単には戻ってきません。

 

管理組合の利益を考え、行動します

ここで重要なのが、第三者性です。

この第三者性は、管理組合と外部者(管理会社・開発会社・工事会社など)との間だけには留まらず、冒頭の話題にも関連する区分所有者間においても必要です。

なぜなら、特定の人を優遇する人間の意見をもとに、全体意見の調整することはできないからです。

中立的な第三者の専門家でなければ、様々な利害関係者間の権利義務の衡平を図り、管理組合全体の利益を最大化することなどはできるはずがありません。

そのため、バックマージンやキックバック、談合などをするなどあってはならないと考えています。

しかし、実態としては完全にそのような方を排除できているわけではありませんし、以前にも記事にした通り、業界として、特有の課題があります。

そもそも食べていけるのか?マンション管理士の報酬と対価について

 

どのように選べば良いのか?

正直、選ばれる立場の私がいうものおこがましい話かもしれませんが、よく質問されることでもあります。

はっきりいえることは、その人にどうしても頼みたくなるような明確な理由がなければ、よく比較してください。

ただし、属人的なスキルや経験、実績が比較対象となるこの業務を、客観的に比較することは大変難しいはずです。

しかも、専門家を採用するにあたっては、価格と印象は全く当てになりません。

フィーが高いからといって質が良いわけではありませんし、印象が良い人だからといって信頼できる人ともいえないからです。

私がよく勉強会に参加しているマンションコミュニティ研究会の廣田先生も、信頼できる専門家の選び方に関して次のブログ記事を書かれています。

明確な結論はありませんが、一つの考え方として、廣田先生が書かれている通りだと私も考えています。

 

まとめ

一部の法律規制がある業務などを除き、マンション管理士など専門家は、第三者として、できるだけ中立・公正な立場から、管理組合の業務にアドバイスできる必要があると考えています。

その意味では、管理会社は明確に第三者性のないポジションでありながら、自社のサービスを売り込んでいます。

理屈としては、こんな信用ならない業務に対して、コンサルタントの方が怪しいという話は全く筋が通りません。

しかし、現実はそうではありません。

これは、普段から近しい人に親近感を覚えるのは人として普通のことだからです。

その印象操作に惑わされないよう、管理組合には第三者としてのアドバイスが有用なはずですし、そのコンサルタントには、監査法人並みの第三者性や倫理観が求められると考えます。