管理会社に対する期待について
昨日は、お問い合わせのあった質問に関して記事にしました。
純粋な疑問に関しては、シンプルにお答えが可能です。
しかし、お問い合わせの際に、強く感じるのは質問者の管理会社に対する憤りです。
期待がないのに、憤りを感じることはあまりないはずですので、裏をかえしていえば、それだけ管理会社に期待があったということではないのでしょうか?
管理会社に期待されるもの
大前提として、管理組合から出納業務まで依頼される管理会社に対して、相当の社会的期待があるのは当然です。
私が目指す税理士に対しても単純な記帳代行や税務代理のみを求める人もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は、税理士ならではの貢献を求められているのではないでしょうか?
管理の実務上でも、ここには大きなギャップを感じます。
もちろん、すべての管理組合がそのような状態にあるというわけではないと思いますが、多くの管理組合役員は輪番による腰掛け役員です。
平素は仕事がある人がほとんどですから、自らが率先して多くの役割を引き受けられるわけもなく、管理会社に多くを期待することは当然のことだと思います。
しかし、それは「利益の追求」に関しては、明らかに利害が相反する相手に対する期待です。
もしかしたら、フロント担当者は、「いい人」で「優秀」かもしれません。
それでも契約は、組織(管理組合)と組織(管理会社)で行われるものですので、本来、そこには一定の線引きが必要なはずです。
加えていえば、よくあるのが管理員さんに対する印象が、管理会社に対する印象になっているケースです。
ほとんどの管理員さんは管理会社が教育しているのはなでなく、ご本人の資質と努力によって、そのポジションを得ているにすぎません。
義理人情も大切ですが、そこをあまりに混同してしまうと、課題の切り分けが難しくなります。
バランスを取るための仕組みの欠如
管理会社の必要性については以前記事にしています。
この必要性が管理会社への期待にもつながっています。
しかし、多くの管理組合では、期待と必要性、コストのバランスを取るための仕組みが欠如しています。
現状、管理組合活動の中で、管理会社が企業における専門経営者的ポジションを担っていると考えています。
そして、区分所有者は株主です。
この管理会社(経営者)を牽制する、監査役(内部監査)や監査法人(外部監査)のような仕組みが、管理組合の組織にはない(もしくは、機能していない)のです。
株主である区分所有者が、専門経営者を論破できるほど管理に精通し、いざという時はフットワークよく動ける株主であれば良いのですが、正直そのようなスーパーマンは少数派のはずです。
実際、非営利の管理組合の活動においても、少なくないお金が動く以上、善意を期待するだけの抑止力だけでは、それを防ぐことができないことは、おわかりいただけるのではないでしょうか?
まとめ
念のため、申し添えますが、管理会社に丸投げすることをお勧めしていないように、マンション管理士他、私のような外部専門コンサルタントに丸投げすることも同様にお勧めしていません。
法律で大きく縛られている企業監査ですら、粉飾決算や不正会計、不祥事が後を立ちません。
第三者の目は大切ですが、それも管理組合の主体的な活動あってこそ、生きてくるものにすぎないからです。
管理組合の活動も、企業経営と同じく事業です。
事業を円滑に運営するために必要な仕組みに関しては、営利にも非営利にも大きな違いはないのかもしれません。