A Written Oath

湘南藤沢の開業税理士・マンション管理士・社会人大学生のブログです

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マンション管理建築・不動産関連

管理組合への融資件数・額が増加しています

久しぶりにマンション管理新聞の記事(2018年4月25日•5月5日合併号、第1070号)からブログを書きます。

住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資実績が大幅に増加していることが記事になっていました。

 

マンション共用部分リフォーム融資

分譲マンション管理組合が借り入れを行うのは、震災などによる災害復旧のような特別な損害復旧費用を除くと、基本は大規模修繕を行うための資金不足によるものです。

建物・設備の劣化が進行している場合、工事せずに放置すると漏水事故などが懸念されることから、借り入れしてでも工事を実施するニーズがあります。

いまではかなりの金融機関やノンバンクが融資してくれますが、管理組合の団体としての法的性格が判然としなかった時代もあり、過去には融資を受けることが難しい時代もありました。

そこで新築住宅におけるフラット35のように、国の施策として、マンション管理組合向けの融資制度として作られたのが、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)の「マンション共用部分リフォーム融資」です。

分譲マンション管理組合専用の融資制度ではありますが、類似事例として挙げたフラット35のように、要件さえ満たせば、固定金利で、かつ、固定金利としては低い利息(東京都には利子補給制度があり、適用を受けられれば1%以下の貸出金利の場合、ほぼ保証料のみが負担)で融資してもらえる管理組合としては、とてもありがたい制度です。

 

設備資金への融資ではありますが

仮に、管理組合への融資を中小企業への融資に例えれば、運転資金には該当しませんので、あえて当てはめるとすれば、設備資金への融資というべきだと考えます。

ただし、管理組合への融資は、企業への融資と異なり、その設備に融資をしたからといって、売上や利益の増加に繋がるわけではありません。

むしろ、融資を受けたという事実からすれば、積み立てられているべき資金にすら、こと欠いているという危機的状況というべきです。

また、住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォームローンの融資条件は、フラット35のように厳しいものではなく、住宅金融支援としての性格から、とても緩く、返済に必要な額に対して修繕積立金をどれだけ徴収できているか(毎月の修繕積立金額の80%まで借りられる)で判定されています。

言い換えると、フルローン(融資額は工事費の80%まで)はできないのですが、最大積立額の80%まで返済に回せるということは、この融資を受けている場合、月額20%分しか将来への積み立てをしていない状況がありえます(あくまで、最大の話ですが)

 

当然、毎月の修繕積立金が相当高額になるはずです

そんな状況では、積み立て不足は一目瞭然ですから、借り入れを行う際には将来の修繕費用も踏まえて値上げを行います。

すると、普通に考えた場合、「いままでの積み立て不足+将来分の修繕積立」の徴収が必要となります(なかなかそこまで一気に引き上げできず、中途半端な改定になることの方が多いのですが。。。)

どのような管理組合が融資を受けたのかについて、詳細なデータは公開されていません。

ただ、マンション管理新聞の記事では、融資が増えた要因として、高経年マンションの増加や、バブル期に大量供給されたマンションの2回目の大規模修繕実施時期にあたる可能性が挙げられていました。

もし仮にこの要因があったとすると、2回目の大規模修繕工事を行うマンションは12年サイクルで考えると築24年目以降のマンションになります。

30歳で分譲マンションを購入していたとしても、54歳以上の方が世帯主ですから、修繕積立金の大幅な値上げができるラストチャンスだったかもしれません。

30歳の時に定年後の自分を想像することは難しかったと思いますが、54歳以上ともなれば、そうではないはずです。

もちろん、明確にわかるはずもありませんが、皆さんそれぞに将来所得のイメージがわかってきている年齢だと思います。

その修繕積立額の改定は本当に最後の改定でしょうか?

もし、最終の改定と言い切れる額でなかったとしたら、再度の改定を受け入れる余地はありますでしょうか?

 

まとめ

貸出金利が低いとはいえ、積立額そのものを補助してくれているわけではありません。

先日も記事にした通り、高齢化後に積立金を値上げすることは難しいと考えていることから、早めの修繕積立金適正化を目指されることをお勧めします。

「プロフィットファースト」ではなく、「インカムファースト」もあり