日商簿記検定について
※アイキャッチ画像は日本商工会議所の簿記検定ページより(SAOとタイアップしていた模様)
一昨日(2016.11.20)、日本商工会議所が実施している第144回簿記検定試験がありました。
たまたま、契約したコワーキングスペースで日商簿記検定の勉強されている方に出会い、現在の簿記検定の話を伺うことができました。
私が受験した5年前の試験範囲からすると、かなり変化しつつあるようです。
今年度から段階的に試験範囲が変わっています
私が時流に乗り遅れているだけで、皆さんご存知かもしれません。
今年度の第143回(平成28年6月)の試験から簿記検定の試験範囲が変更されました。
思い返してみれば、私は税理士試験の簿記論や財務諸表論で、日商簿記2級検定試験との範囲の違いに戸惑った覚えがあります。
会計制度がどんどん複雑化する中、簿記検定だけが時代に合わせて変化しなくてよいということはないはずです。
1級に全ての範囲を含めるという考え方もありますが、それだと1級と2級の差が激しすぎます。
級区分の違いをマイルドにするためにも、確かにこの変化はあっても良いと感じました。
ただし、一気に変更するわけではないようです。
平成30年度まで3年間かけて、段階的に試験変更されることになっています。
なお、単純に試験範囲を拡大するような変更がなされているわけではなく、現在の実情に合わせた変更がされているようです。
しかし、簿記2級試験では、多少減る部分はあるものの「連結会計」や「税効果会計」、「リース会計」、「外貨建て取引」などが1級の範囲ではなく、2級の試験範囲に変更され、比較的範囲が純増しています。
受験生は大変
簿記・会計の世界自体が国際化などの進展のほか、例年の会計基準の変更により、大きな影響を受けています。
新たにこの業界に入ってくる方は、これに適応しなければなりません。
税理士や会計士だけではなく、簿記検定までもこの影響を受け、より難しくなっています。
以前の受験イメージで、簿記2級合格者を侮ることはできません。
比較可能性は担保されているのか?
社会人大学院で会計に関する講義を受講したこともあり、感じたことですが、会計では「比較可能性」という考え方が重視されていたはずです。
当然のこととして、「企業」ごとの比較可能性は十分な検討のもと、その比較可能性は担保されていると思うのですが、その反面、これほどまでに複雑に毎年改正されてしまうと「期間」ごとの比較可能性は相当失われているのではないかと感じています。
もちろん、いろいろな都合や変更する必要性があって行われているとものと考えますが、ここまで頻繁だと、その改正に付き合うために相当な社会的コストが投下されており、そのコストに見合うだけの社会的意義を発揮できているのかが、私にはさっぱりわかりません。
まとめ
早いか遅いかの違いはあれど、中小企業の会計しか携わらないと決めない限り、この業界に入ったからにはいずれ覚えないといけない内容のはずです。
大変なのにもかかわらず、世間にはあまり知られていないことだと思いますので、今年以降の日商簿記受験者は、頑張った分をカウントしてもらえないかもしれないため、印象上では少し損をするかもしれません。