ビジネスとしてのマンション管理士
この1年弱ブログを更新する中で、自らの思考の整理を行ってきました。
特に課題としていたのが、この「ビジネスとしてのマンション管理士」という視点です。
この課題に関しては、管理組合活動が営利事業ではなく、共済的事業(いわゆる自治会的活動など)であることに端を発しているように思われます。
シンプルなボランティア活動ではない
当たり前の話のはずですが、そうではないようです。
マンション管理組合の活動は、営利事業ではないことから、あまりビジネスとして捉えられていません。
一面としては、収益事業を行っていたとしても、それが事業のメインではありませんので、頑張ったからといって目に見えるような利益が管理組合に生じませんし、収益獲得ではなく、費用削減を主体として運営される事業であることから、管理組合の役員も通常は報酬がありません。
このような事業に対して費用を払ってまで外部専門家を雇うという感覚を持つことが難しいのは当然です。
反面、管理組合の活動を通して、自己の資産価値の上げるとまではいえなくても、時の経過による価値の低下を抑え、結果として資産価値を守っているのであれば、これも立派なビジネスだと、私は考えています。
もちろん、その活動を適正に評価する仕組みがありませんので、具体的な価値を示すことが難しいものです。
ただ、外注している管理委託費などを適切に低減させ、そのパフォーマンスをあげれば、長期的には修繕積立金の値上げを抑え、ランニングコストを下げることができます。
それは結果として、マンションの資産の価値につながるものではないでしょうか?
目立つところに眼が行くのはわかりますが
そのはずですが、なかなかその部分をクローズアップした話になりません。
特に驚くのは、所属しているマンション管理士会においても、そのような傾向を感じることです。
きっかけは、清掃業務に関して関心が低い人が多いように感じたことでした。
テーマに対する切り口や問題提起部分に関して、工夫の余地があると感じましたが、発表者の方もこのテーマに対して自信を持って発言をされているわけではなさそうでした。
私からすれば、清掃業務は「人」に依存する評価部分と、客観的に評価できる作業部分との切り分けを適切に行えば、清掃業務の本質は、大規模修繕工事などの工事と変わらないと考えています。
特に大規模修繕工事は一度に大きな金額が動くことから、とても目立ちますが、実際のところ、日常清掃業務は、清掃員1人を常用雇用した場合、12年間で4,000万円ぐらい支払っているはずです。
定期清掃の費用なども加えて考えれば、この金額的なインパクトは、大規模修繕工事とそれほど大きくは変わらないはずです。
あまり金額を下げるところにクローズアップしすぎては問題ですが、ここ業務を適切に評価し、改善できることは、大規模修繕工事に近いレベルのメリットを管理組合に与えるはずです。
提供できるものベースではない
ここからは私自身の課題ですが、「ビジネスとしてのマンション管理士」という商品は、「提供できるもの」や「提供したいもの」ではなく、「求められているもの」に軸があるべきです。
加えて、プロとして、お客様が気付いていない価値も提供できればと考えています。
この昨年から今年にかけては、その「求められているもの」を探す期間でした。
昨年は、「ビジネスとしてのマンション管理士」の学びの実践として、昨年は『活躍できるマンション管理士養成塾』を受講し、今年は(一社)神奈川県マンション管理士会に所属し、各研究会に参加しています。
https://writtenoath.com/an-active-part-as-legal-licensed-condominium-manager/
正直、お客様に伝えやすいのは金額的なインパクトです。
どうしてもアピールの部分では、明確な数字に勝るものはないようです。
ただ、以前から記事にしている通り、この金額的な部分だけに着目してしまうと、質の面においてしっぺ返しを食らいます。
先日の株式会社CIPさんのセミナーように、この両立を果たし、顧客サイドからその信頼が帰ってくるような価値提供を行うことが必要です。
逆にこの価値提供が行えないのであれば、十分な収益が獲得できず管理会社のように、手数料・バックマージン商売に流れることとなります(荒稼ぎするため収益が上がっていてもやる人もいるかもしれませんが。。。)
この方向に流れてしまうと、マンション管理士をビジネスとして成り立たせているとはいえません。
報酬を支払っていただけるお客様(管理組合)の立場に立って、その利益を守る専門家であるためには、独立した第三者であることが重要です。
まとめ
まだ実績を出せていませんので、大きなことはいえませんが、自分のこの軸を見失わないようにマンション管理士としての業務に取り組んでいます。
この課題に関しては、もう少し掘り下げて、また記事にしたいと思っています。