「International Taxation」のケース検討(初日分)
先日、講義予習を開始したこと記事にしました「International Taxation(国際税務)」。
課題として当てられているケース(判例や事例)についても、少しずつ読み進めています。
まずはテキストから読み進めました
そもそも国際税務に関わる税制がわかっていません。
そこで、テキスト指定された川田剛著『国際課税の基礎知識(第9版)』と中村雅秀著『国際移転価格の経営学』の2冊を入手し、ざっと読み進めました。
まだ読み切れていない部分も多々ありますが、ざっとの通読は終えました。
わかっていない所は、ケースに取り組みながら、読み返す予定です。
グループ割の発表がありました
講義では、このテキストなどの知識を前提として、各ケースに対して与えられているアサインメント(課題)に回答するプレゼンテーションを行います。
その発表はグループごとに行うことになっており、今回そのグループ割の発表がありました。
10個のケースに対して、10グループあり、どのケースが当たるかはわかりません。
そのため、ケースの全てを予習して講義に臨む必要があります。
全部で10ケース
1日目/1st day
・居住者及び非居住者の概念
<武富士事件>
・駐在員事務所、海外支店及び海外子会社のそれぞれの課税関係の相違
<アマゾン・ドット・コム事件>
・外国子会社配当益金不算入制度
<都市銀行 外税控除事件>
<HOYAの配当政策>
3日目/3rd day
・移転価格税制
<アドビ事件>
<デュ・ポン事件>
<ウエストレコ事件>
武富士事件
有名な事件ですね。
税務に関わる前でも噂話程度ながら、世間を賑わせた事件であったことは知っていました。
しかし、中身はまるでわかっていませんでした。
この裁判となった事件の時、贈与税が課される条件として「居住者」であることが必要でした。
居住者とされる条件として、その住所(生活の本拠)がどこにあったのかが争われたのです。
アマゾン・ドット・コム事件
アマゾンは日本で課税されないために、日本に支店や営業所、工場など所得を得るための恒久的施設(”permanent establishment(よく「PE」と略されます)”)をおいていませんでした。
このPEがあると居住者と考えられ、日本での所得に対して税金がかかるようになります。
そのため、アマゾンは営業所をおいてはいないことになっていました。
しかし、日本で物流のみを担っているはずの日本法人では、パソコンや機器類を持ち込んで、米国本社からの指示を受けて、物流業務以外の業務を行っていた事実が判明します。
日本の課税当局はこの事実を元に140億円の追徴課税を行ったという事件です。
都市銀行 外税控除事件
外国で支払った税金分、日本の税金を納めないで済む制度を濫用したことが問題になった事件です。
そもそも外国税額控除は、国際企業が、外国・日本と二重に税金が取られることを防ぐために設けられた制度です。
しかし、この事件では、外国企業と示し合わせて、あえて国外取引(貸付)で損(外国の企業はその分得をする)を作り出し、利益は出ていませんので日本では納税額が発生しない形を作りました。
そして、その取引(相手企業からの支払利息)で源泉徴収された外国税は、利益が出ていないことにより、納付した外国税額分の還付を受けることになります(無制限ではなく、上限枠があり、その上限までを使い切ろうとしました)
HOYAの配当政策
こちらは、判例ではなく事例です。
HOYAは、海外での儲けを日本の親会社に配当すると大きく課税されてしまうため、海外の子会社が海外であげていた収益を、そのまま海外で再投資してしまっていました。
そのため、HOYAグループ全体資産のほとんどは海外(このケースではオランダ)でとどまり、日本の親会社にはその資金が還流していませんでした。
ところが、外国子会社配当益金不算入制度が導入されることにより、外国子会社からの配当への課税がなくなったため、日本のグループ親会社に1200億円の配当を出すとの方針が新聞発表されました。
まとめ
まず初日の4ケース分ですが、こんな感じのことを予習しています。